The Japanese Council of Traffic Sciense
第41回日本交通科学協議会総会・学術講演会

開催にあたって
第41回総会会長 山木 垂水
(京都九条病院院長)

 この度,第41回日本交通科学協議会・学術講演会を6月2?3日京都で開催させていただくことになりました。本会が関西で行われますのは,この長い本会の歴史の中で第14回総会(神戸大学医学部・溝井泰彦会長)以来2回目であり,その会長にわたくしをご指名いただきましたことを誠に光栄に存じております。
 わたくしは,今回,二つの大きなテーマを考えシンポジウムの形でご討論いただくことを計画いたしました。一つのテーマは「交通と環境」です。1997年,この京都の地において「国際気候変動枠組み条約第3回締約国際会議(COP3)京都会議」が行われ,先進国全体で温室効果ガスの排出を削減し,地球温暖化を防止しようという「京都議定書」が採択されました。この「京都議定書」は紆余曲折を経て,本年2月16日発行されました。これにより,すでに締結している129カ国と欧州共同体のあいだの国際法としての効果を持つことになりました。このようなホットな時期に交通に関与しておられる研究者や企業が,この問題に対しどのように取り組んでおられるのかをお聴きするのは非常に有意義なことであると考えております。
 もう一つのテーマは「大量の人を運ぶ企業における安全対策」です。このテーマを選んだ理由は次のようなことです。昨今,わたくしが属しております医療の世界では「医療における安全対策や危機管理」が極めて重要な問題として取り上げられております。ところで,このような「安全対策」という言葉は「多くの人を運ぶ企業」では早くから検討されていたものです。そこで,これらの企業で安全管理を行っておられる方々から,「安全対策」に関するお話をお伺いする機会を持とうと計画いたしました。しかし,皆様もご承知のように,4月25日,大変大きな車両脱線事故が発生し,数多くの人々が犠牲になられました。現在,この問題は各関連機関による事故原因調査が行われているところです。そのような情勢のなかでこのテーマでシンポジウムを行うことは本会として適切な時期ではないと判断いたしました。したがいまして,このテーマのシンポジウムは今回のプログラムから削除させていただきます。本件に関しみなさまがたのご理解を賜りますようお願い申し上げます。
 ところで,開催日両日の昼食時にランチョンセミナーとして帝京大学医学部・救急救命センター教授・坂本哲也先生,茶道,武者小路千家・家元・千 宗守様に,それぞれ「外傷による死亡者を減らすために ?病院前救護と初期診療のガイドラインについて?」,「一畳半の緊張」というタイトルでご講演をお伺いすることにいたしました。
 また,一般演題も各分野から36題の応募をいただきました。そのため,各演者の皆様方のご発表の時間を充分おとりできなくなりましたことを誠に申し訳なく存じております。
 本会恒例のオプショナルプログラムは総会前日の6月1日に京都のお隣の滋賀県にあります,タカタ株式会社愛知川製造所にてエアバッグ,チャイルドシートの研究・実験の見学を企画いたしております。なお,現地には総会会場前から専用バスで往復いたします。ただ,ご参加いただける人数に限りがございますのでお早めにお申し込みください。
 このような次第で大変盛りだくさんのプログラムになりましたが,是非多くの会員のみなさま方にご参加いただき実り多い総会にしていただきたく存じます。また,総会の前後には初夏の京都の風情をお楽しみいただければ幸いです。
 
                                     平成17年4月27日

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